菌糸ビンの底に蛹室を作っていた本土ヒラタクワガタのメスですが、夜見てみると、蛹室に体液がたまっており、羽化直前でした。
体液が吸収されずびちょびちょの状態だと羽化不全になる可能性が高いので、急遽菌糸ビンを掘り出し、ヒラタメスをティッシュで作った人工蛹室に移し替えました。
果たして無事羽化できるのか?!
ビン底は羽化にはリスキー
羽化不全について調べたばかりだったので、菌糸ビンを見て焦りました。
(ビン底の蛹室)
蛹は羽化直前になるとおしりから体液を出すのですが、これがべたべたしたものらしく、下に吸収されないでたまってしまうと、羽が体液でぬれてきれいに閉じることができずに羽化不全になってしまうことがあるのです。
このメスの蛹は10月14日時点で体重8gあった子で、今回の本土ヒラタメスの中では2番目に大きい子でした。
本土ヒラタメス40㎜UPを目指す私としてはどうしても羽化に成功してほしい個体だったのです。
ただ羽化不全はメスよりも圧倒的にオスの方が多いということもあり、なんとかビン底でもうまく羽化してくれるかなと様子を見ておりました。
しかし実際に羽化直前の体液が底にたまってびしょびしょになっている姿を見ると、どうしても掘り出して、安全な場所に移してあげなければと思ったのです。
羽化不全対策について書いた記事はこちら↓
初めての人工蛹室
救済する方法は一つ、人工蛹室への移行でした。
実は人工蛹室は今まで作ったことがなく、それもメスを掘り出さなかった理由でもありました。
人工蛹室作るとなると、オアシスを買ってきて…、ってもう夜の8時過ぎでお店も閉まっています。
次善の策としては、ティッシュペーパーを固めて作る人工蛹室というのを思いつきました。
以前、SNSのグループで人工蛹室について質問した時に、オアシスでなくてもティッシュを固く絞って、それを粘土のように扱って人工蛹室のかわりにする方法を聞いていたのです。
即座にティッシュで人工蛹室を作ることを決断しました。
まったく初めての挑戦でした。
小型のタッパーがありましたので、それに霧吹きで加水したティッシュを絞り込んで、タッパーに詰めていきました。
やってみると確かに、ティッシュも加水すると粘土っぽくなります。
頭が来る方を少し高くし、足で引っかかれるようにとサイドを作り、なんとか人工蛹室らしきものができました。
メスの掘り出し
意を決して、菌糸ビンを薬さじで掘り出しました。
羽化直前なのは確かなのですが、このタイミングで取り出して大丈夫なのかどきどきしながら掘り返していきます。
ビン底まで到達し、蛹を取り出すことに成功しました。
蛹は、まだ前胸が割れるところまではいっておらず、足先が微かに動いている状態でした。
(掘り出したあとの蛹室)
薬さじを使って急いで、人工蛹室に入れました。
人工蛹室後
初めは仰向けに人工蛹室に入れたのですが、ひょっとしたらもう菌糸ビンの中でうつぶせになっていたかもしれないと思い返して、再度取り出してうつぶせにして入れてあげました。
羽化は蛹の体勢がうつぶせになってから始まるので、そうしたのです。
非常にナイーブな状況ですので、これ以上は触るまいとして後は無事羽化することを祈りながら見守ることにしました。
実際のところ、菌糸ビンから取り出すべきだったのか、取り出さなくてもメスだし自然に羽化できたんじゃないか、という疑問は残りましたが、出してしまった以上、この人工蛹室でなんとか羽化してくれと願いました。
羽化の様子
人工蛹室に入れたのが、もう夜の11時を回っていて、彼女の様子をずっと見ていたかったのですが、明日のこともあるので、12時過ぎには寝床に付きました。
蛹の状態はというと、前胸の真ん中に割れ目は入っていましたが、うつぶせになったまま、あまり動かずじっとしていました。
翌日朝起きて、ドキドキしながらタッパーの中の人工蛹室を見てみると、羽化の真っ最中で、既に上羽は伸び収まり、下羽は上バネの下からすっと伸びている状態でした。
頭はまだ曲がったままです。
おお!順調やないか!
その後仕事にでかけ、夕方帰宅して見てみると、まだ下羽はしまわれてはいませんでしたが、頭はだいぶ開いて、本来の姿らしくなってきました。
後は、下羽がうまくおさまってくれればなあと思いつつ、その日の夜も結局下羽はしまわれるのを確認できませんでした。
翌日の朝、今度は、羽の様子がどうなっているのかドキドキしながらタッパーのふたを開けて見ると、見事!下羽も全部上羽の中におさまっておりました!
羽化としては、一応成功でしょう!
後はお尻が縮んで上羽の中に納まってくれれば、完璧です。
ほっと胸をなでおろしました。
菌糸ビンから掘り出したがためにかえってダメにしてしまったらどうしようという思いがずっとあったのです。
初めての人工蛹室で、羽化を成功させられて本当に良かったです。
結び
人工蛹室に入れたおかげで、ずっとは見ていられませんでしたが、蛹全体を真上からしっかり見ることができ、前回の露天掘りの羽化観察の時とは違った角度からも見ることができました。
とにかく無事に羽化してくれて、結果オーライということで、よかったです。
蛹の扱いについて少しだけ自信がついてきました。
今期はメスは少なかったのですが、その中でも一番幼虫の体重が大きかったメス2頭が無事に羽化してくれたので何よりです。
後は気になるサイズですが、こちらは体がゆっくり固まるのを待ってから測っていきたいと思います。
それでは!
続きの記事はこちら