カブトムシの声を聴く(生体写真館)

9月も終りに近づいてきましたが、我が家の国産カブトムシは、元気にしております。

 

今日は、彼からいろいろ話を聞き出そうと思います。

 

彼から意外な言葉も飛び出し…

 

 

 

いまの心境は?

 

-どうですか?うちにきて、はや、2か月と10日あまり。今の心境は?

 

「逃げたい」

 

-ほほう、やはりうちでは満足できませんか?

 

毎日食事つき、3日一回はシャワーも。温度も快適な25度ですよ。

 

何が不満なのですか?

 

「さびしい」

 

 

-ほほう、さびしいと。

 

「彼女がほしい」

 

-なるほど。

 

でもね、カップルっていうのは何かと面倒くさいですよ。

 

いろいろ相手に気を遣わなければいけないし、ほっとくと怒られるし。

 

「そういう面倒くさい体験がしてみたかった。独りぼっちは寂しいよ」

 

 

-…

 

-そうですかあ。でももう彼女作ろうと思っても、みんな天国いっちゃってるしねえ~

 

「そんなことはない探せばどこかにきっといるはずだ。逃がしてくれたら、自分で探しに行くから」

 

-でもそれでは、放虫ということになっちゃうし、第一あなた、うちから出たらアスファルト地獄ですよ。近くには雑木林なんてありませんよ。あるのはけやきの木だけ。

 

「…」

 

「じゃあこのまま、寂しいまま、老いて孤独に死んで行けというの?」

 

 

-というか、まあ、余生を楽しんでいただければと…

 

「あんた、わかってないね」

 

-はあ。

 

「むしなんか衣食住さえ、与えとけば、それで満足するというところが思い上がっている」

 

「おれはペットじゃないんだから。尊厳あるカブトムシよ」

 

-えぇ?、ペットじゃないの?そ、尊厳てそんな大げさなあ。

 

「一切衆生悉有仏性(いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)!すべての生きるものはやがて仏になる種をもっている!」

 

-そんな言葉、どこで覚えたの?!

 

「常識です」

 

 

-…

 

-じゃあ、私はどうしたらいいのでしょう、やはり逃がして…

 

「ふぁああ~。腹減った」

 

-え?!

 

「おしゃべりしたら、お腹が空いたと言っているの」

 

-え、あの仏が…

 

「なに訳わけわからないこと言っているの。」

 

「5分後にプロゼリー、それから30分後に、シャワー、そしてその後は、寝る」

 

「また、おしゃべりしようね。じゃあ後よろしく~」

 

 

結び

 

ふう。

 

手ごわかった。

 

彼は要するにおしゃべりがしたかったようです。

 

それは無理もないかもしれませんね。

 

毎日同じ狭いケースに入れられてじっとしているんですからね。

 

彼は読書も好きそうですから、今度そばに聖書でも置いておこうかしら(欧米か?!)

 

最近の彼は、狭いケースの中でも動き回っていることが多いです。

 

ただ退屈なだけなのか、死期が迫っているのか、定かではありませんが、一日一日彼との時間も大事に過ごしていきたいと思います。

 

それでは!